基礎と応用

行政書士試験の試験科目にはどんなものがあるのでしょうか。

一般的に難関国家試験とされていますので、合格までにはそれ相応の勉強期間を要しますが、行政書士という法律家の仕事を遂行するためにはどれも必要な知識になります。

試験科目が多いと見るかそうでないかは個人差あると思いますが、いずれにせよ、事前に試験科目は把握しておきましょう。各科目別の簡単な解説と共にご紹介します。

行政書士試験は6科目

行政書士試験は全部で6科目あります。まずは出題科目一覧と大まかな出題範囲をまとめてみましたのでご覧ください。

科目 出題範囲
法令等 憲法 総論
人権
統治機構
民法 総則
物権法
債権法
家族・相続
行政法 総論
行政手続法
行政不服審査法
行政事件訴訟法
国家賠償法・損失補償
地方自治法
商法・会社法 商法総則・商行為
会社法
基礎法学 法解釈・司法制度・法令用語他
一般知識 政治・経済・社会 各分野の時事問題等
情報通信・個人情報保護 情報通信関連・個人情報保護法
文章理解 文章要旨・並び替え・空欄補充



行政書士が法律を扱う仕事ですので基本的には法律科目が中心です。その法律科目である「法令等」が5科目、、一般知識が1科目の計6科目になります。

それでは科目ごとに解説します。

法令科目

まずは法律関連が出題される法令科目から。

憲法

衆議院本会議

まずは憲法です。

憲法とは、その国の基本法です。そして同時に国家権力を制限するための法です。国民の人権を制限するための法である法律とは決定的に異なる点ですね。実際に憲法の勉強をしていかないとわかりづらいと思いますが、法律と憲法は異なるものということなのですね。

憲法の試験範囲は、ほぼ日本国憲法ということになります。日本国憲法とは、前文という冒頭の文章と全103条、実質的には99条の条文からなる明文憲法です。大きく分けて「総論」、「人権」、「統治機構」と分かれており、第1章から第11章にカテゴリー分けがなされています。

総論は「第1章 天皇」「第2章 平和主義」の部分であり1条から9条までの部分になります。10条から40条までが人権規定が並んでおり、これが第3章になります。そして、41条から99条までが統治機構ということになり、第4章以降になります。

憲法の難易度

憲法の難易度についてですが、行政書士試験の場合ではそれほど高くないといえます。それほど出題数が多くないということもあるのでしょうが、点数の稼げる科目と考えます。

民法

遺言書

民法とは、市民の法。市民間のルールを定めた法律ということですね。市民間のルールの法律ですから、範囲・量は膨大です。民法は、何と1044条まであるのですから。もちろん、行政書士試験の範囲も1条から1044条までになります。

民法は、厳密に言えば、いくつかの法律が合わさって成り立っています。もちろん、すべてが民法なのですが、色々な法律の集合体といっても差し支えないのですね。

例えば、「物権法」とか「債権法」とか。「家族法」「相続法」とかもそうです。そして、それらが複雑に絡み合っているので、結構厄介な法律なのですね。

民法は身に付けるのに時間が掛かる

民法は難しい科目です。これは間違いない。難しいので、身に付くまで時間が掛かります。根気よく勉強していく必要があります。そして、しっかり身に付けば、それはそれは大きな力になること間違いなしです。

「民法を制するものは行政書士試験を制す」って聞いたことありませんか?これは民法が試験科目にある資格試験すべてに言えることなのですが、法律系試験の「花形」です。どの試験でも占めるウエイトが大きいです。

民法が苦手な人は、行政書士試験に絶対に受かりません。しかし、民法が得意であればそれだけで合格できるとは限りませんが、大きなアドバンテージになることでしょう。 ですから、民法は特に地道に力を付けていって、得意科目にしてもらいたいと思います。

民法は最も難しく、最も面白い科目だと思います。

行政法

税務署

実は、行政法という法律は存在しないのです。そういう名称の法律はありません。いくつかの法律を束ねて便宜上行政法と呼んでいるにすぎません。

行政法とは、行政の組織や手続を定める法律です。行政とは、議会が制定した法律を行使する公的機関全般を言います。法律がないといろんな行政活動ができないのですね。その上で、その行政組織を定める法律が必要になります。

また、一般市民と行政の接点において、その手続が定められています。それも行政法なのですね。さらに、法律によっては議会についてのことも規定されています。

行政法は憲法統治機構の具体化

上に挙げた行政法のうち、明確に憲法に関係のある法律があります。「国家賠償法」と「地方自治法」です。「国家賠償法」は憲法17条、「地方自治法」は憲法92条に書かれています。

いずれの規定にも「法律で定める」旨の文言がありますが、憲法が法律に委任している形を採っています。つまり、行政法は、憲法の規定を具体化した法律といえます。

この2つ以外の法律でも、行政に関する法律ですから、憲法の統治機構を具体化した法律といえるでしょう。ですから、行政法は憲法を勉強した後に始めると良いと思います。イメージ沸きやすいし頭に入ってきやすいと思います。

商法・会社法

株主総会

「商法・会社法」と聞いてイメージ沸きますでしょうか。
商法と会社法の関係でいえば、会社法は商法の一部と考えてください。実際、以前は、会社法は商法の条文に並べられていました。法改正によって独立した法律です。いずれも民法の特別法になります。

商法

商法とは、商のプロの場合の取引きの規定になります。商売ですから、商的取引きは大量に継続・反復して行われます。そうなると、一般的取引きとは別に、その特性に応じたルールが必要になってくるのはお分かりでしょう。そのルールが商法なんですね。

商法の規定自体は結構な数を並べていますが、行政書士試験の関係で言いますと、出題範囲は限定的です。「総則」と「商行為」ぐらいですかね。そういうでは準備はしやすいところではあるでしょう。

会社法

商法と会社法の関係性は、民法と商法の関係性と同様のイメージといって差し支えないです。商法に規定だけでは、大きな営利組織となり得る会社ではカバーしきれないものがあります。だとすれば、別に会社法というものを設えて対応していく必要がある、ということなんですね。

会社法は、会社の設立に関する規定から始まります。発起人設立やら募集設立やらの設立の方法や手続について。株式会社だったら株式及び株式発行の規定、そして、会社の機関内の規定です。代表取締役って何?とか何とか・・・

受験生の中でも会社法(商法も含めてかな?)に苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。馴染みも比較的薄いですしね。

基礎法学

司法制度

基礎法学とは読んで字の如しで、法学の基礎知識のようなものです。その法学とは、憲法も含めたあらゆる法学の基礎知識も含まれます。

どんな科目?

公法と私法の違いがテキストには書かれています。違い分かりますでしょうか。民法のごく初期段階で話は出てくるものです。強行規定と任意規定、一般法と特別法、実定法と手続法。これも民法で出てきます。

憲法に関係あるものといえば「罪刑法定主義」についてですかね。同時に刑法に出てくる話でもあります。属地主義と属人主義、法令の効力の話や拡張解釈や縮小解釈、類推解釈の違い(この辺は過去出題されていますね)。憲法31条の適正手続の話ですし、刑法のテキストを読めば、はじめの方に出てくる話です。

基礎法学という科目はおよそこんな感じになります。

一般知識

新聞で時事問題を攻略

一般知識です。もちろんこれは科目ではなく、行政書士の業務に必要とされる知識ということですが、これだけではなかなかイメージがわかないですよね。これからご説明しますね。

一般知識科目の中身

一般知識の出題範囲ですが、大きく分けて3つのカテゴリーに分けることができます。

  • 政治・経済・社会
  • 情報通信・個人情報保護
  • 文章理解

「政治・経済・社会」とは、それぞれ分けられており、それぞれのジャンルに関連した問題が出題されます。法令問題に近い問題も出題されますが、より政治的・経済的・社会的な問題が出ます。

「情報通信」とは、インターネット関連や情報通信セキュリティの事象、用語等の問題が出題されています。「個人情報保護」とは、個人情報保護法に関する問題で、その意味では法令問題に近いと言えるでしょう。

「文章理解」とは、行政書士試験では最も異質と言って良いでしょうね。国語の問題です。

試験範囲がない?

この一般知識科目、すべてではありませんが、出題範囲という概念ではお話がしづらい科目ではあります。「政治・経済・社会」では時事問題が出題されますし、「文章理解」も出される問題は、その性質上すべてが未知の問題です。

その意味では試験勉強がしづらい科目です。なおかつ、一般知識は足切り点が設けられていますので、決しておろそかにすることができない科目なのです。

まとめ

以上、行政書士の科目でした。税理士試験のように場合によっては免除科目があるとかそういうこともなく、すべての受験生が6科目出題されて同じ基準で採点されますのでご注意を。

ご覧のように、6科目ということになっていますが、その科目の内訳はかなり細かいものでその分出題範囲も広範囲です。

もっとも、すべての分野が同程度出題されるというものでもなく、重要度に応じてメリハリ付けがなされていて、それは出題数や配点にも反映されています。

試験の出題形式や各科目の配点・問題数については「「行政書士試験の配点」」を参照ください。

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